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山下 真一郎
日本原子力学会誌ATOMO, 65(4), p.233 - 237, 2023/04
2011年の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故を契機に、軽水炉の安全性を飛躍的に高めることが期待される事故耐性燃料(ATF)の早期実用化への関心が世界的に高まり、現在、世界中の多くの国々で研究開発が進められている。本稿では、2015年より、経済産業省資源エネルギー庁の支援のもとで進められてきている、国内のATF技術開発の概要を紹介する。
徳永 智春*; 久野 孝平*; 河上 匠*; 山本 剛久*; 吉越 章隆
International Journal of Hydrogen Energy, 45(28), p.14347 - 14353, 2020/05
被引用回数:2 パーセンタイル:6.8(Chemistry, Physical)グラファイトとカーボンブラックによるCHからのH生成触媒メカニズムを明らかにするために、ガスクロマトグラフィー,放射光その場加熱X線光子分光法(SR-XPS)とTEMによって6員環に加え5員および7員環からなるフラーレンの触媒挙動を調べた。XPSおよびTEM分析から、sp結合からなる複数のリング構造が、CH分解の400以下の低温触媒作用を起こすことが推察された。
日高 昭秀; 氷見 正司*; Addad, Y.*
Proceedings of International Topical Workshop on Fukushima Decommissioning Research (FDR 2019) (Internet), 4 Pages, 2019/05
福島第一原子力発電所事故で炉心溶融を起こした原子炉燃料のほとんどは原子炉圧力容器外に落下した。その溶融過程や放射性物質の放出挙動は、現在でも十分に解明されていない。主な不確実性として、溶融炉心が最初に冷却された後も、数時間以上の冷却停止が何回か起きたことが挙げられる。注水再開前のデブリは高温になっていたと考えられ、ドイツのQUENCH実験では、水蒸気枯渇状態において酸化した金属が還元され、注水再開時に発生する水蒸気によって酸化が促進し、温度上昇と水素発生量の増加が観測された。1号機でも同様の事象が起きた可能性があり、3/14 21時30分頃に正門付近で観測された線線量の増加は、3/14 20時に再開した注水と温度上昇に伴うFPの放出促進で、同日21時に観測された中性子は、冷却水が溶融プールに接触した際に溶融物・冷却材相互作用により放出されたCmの自発核分裂で説明可能である。また、3/15 2時30分に注水が再開した3号機でも水素発生は増加し、発生した水蒸気とともに4号機の原子炉建屋に運ばれた結果、3/15早朝の4号機水素爆発の主な誘因となった可能性がある。
伊藤 義之; 松島 怜達; 佐藤 史紀
QST-M-8; QST Takasaki Annual Report 2016, P. 69, 2018/03
東海・再処理施設の低放射性廃棄物処理技術開発施設(LWTF)では、低レベル放射性廃液をセメント固化し廃棄体を作製することを計画している。本研究では、作製したセメント固化体からの水素発生量を検討するため、量子科学技術研究開発機構高崎量子応用研究所のコバルト60線照射施設にて、セメント試料の線照射試験を行い、水素生成G値を測定した。その結果、スラリ固化体(充てん率1050wt%)のG値は、約0.03(n/100eV)であり、スラリ廃液を充てんしていない場合に比べて、およそ半分に低下した。硝酸イオンは、水素生成を抑制する効果があり、スラリ中に含まれる硝酸塩の影響でG値は低下したと考えられる。また、炭酸塩固化体(充てん率10wt%)のG値は、約0.14(n/100eV)であったが、20wt%や30wt%の炭酸塩固化体では、それよりも低いG値であった。XRD結果から、塩の充てん率が高くなるほど、NaCOを含んだセメント生成物(Pirssonite)が多く見られ、NaCOのG値は、CaCOよりも小さいため、20wt%や30wt%の炭酸塩固化体のG値は小さくなったと考えられる。
Li, Z.*; He, T.*; 松村 大樹; Miao, S.*; Wu, A.*; Liu, L.*; Wu, G.*; Chen, P.*
ACS Catalysis, 7(10), p.6762 - 6769, 2017/10
被引用回数:158 パーセンタイル:96.49(Chemistry, Physical)We report herein that the single-atom alloy (SAA) made of atomically dispersed Pt on the surface of Ni particles (Pt is surrounded by Ni atoms) exhibits improved catalytic activity on the hydrolytic dehydrogenation of ammonia-borane, a promising hydrogen storage method for onboard applications. Specifically, an addition of 160 ppm of Pt leads to ca. 3-fold activity improvement in comparison to that of pristine Ni/CNT catalyst. The turnover frequency based on the isolated Pt is 12000 mol mol min, which is about 21 times the value of the best Pt-based catalyst ever reported. Our simulation results indicate that the high activity achieved stems from the synergistic effect between Pt and Ni, where the negatively charged Pt (Pt) and positively charged Ni (Ni) in the Pt-Ni alloy are prone to interact with H and OH of HO molecules, respectively, leading to an energetically favorable reaction pathway.
中道 勝; 金 宰煥
Fusion Engineering and Design, 98-99, p.1838 - 1842, 2015/10
被引用回数:15 パーセンタイル:77.56(Nuclear Science & Technology)原型炉ブランケットにおいては、高温下でより安定な先進中性子増倍材が必要である。ベリリウム金属間化合物(ベリライド)は、その候補の一つである。原料電極棒の製造のためのプラズマ焼結法と、造粒法として回転電極法を組み合わせることによって、ベリライド微小球製造に成功した。本研究では、Ti系ベリライド微小球のみならず、V系ベリライド微小球の製造技術開発の現状について報告するとともに、これらベリライド微小球の水素生成反応について報告する。
若井 栄一; 橋本 直幸*; 芝 清之; 三輪 幸夫; J.P.Robertson*; R.L.Klueh*
Fusion Materials, 313(25), p.151 - 160, 1999/04
低放射化フェライト鋼であるF82Hに対し、その水素の効果を調べるために、Feを用いてF82H鋼(F82H(Fe)を作成し、中性子照射を行った。照射は米国HFIR炉において、250Cで約3dpaまで行った。照射によって生成される水素量はF82H(Fe)材と標準材でそれぞれ68と5appm程度と推定される。照射前のF82H(Fe)材の組織は、標準材のそれとほぼ同じであった。照射後、微細なキャビティがF82H(Fe)材でのみ観察され、そのスエリング量は0.0001%程度であった。一方、照射によって高密度の転位ループが標準材及びF82H(Fe)材で形成され、その数密度と平均の大きさはそれぞれ、1.410mと7.9nm及び2.110mと6.6nmであった。標準材では(1/2)111タイプのバーガースペクトルを持つ転位ループが形成したのに対し、F82H(Fe)材では111と100の2タイプのループが形成した。またF82H(Fe)材における111タイプの割合は全体の73%程度であった。
高橋 博*; X.Chen*; 佐々 敏信; 滝塚 貴和
JAERI-Research 99-011, 63 Pages, 1999/03
日本のオメガ計画では、高速未臨界炉心を用いてマイナーアクチノイドを消滅する加速器駆動消滅炉が研究されている。このシステムでは、構造材への中性子と荷電粒子による放射線損傷が既存の核分裂炉よりも深刻な問題となる。消滅炉の放射線損傷を評価することは、損傷が主として材料の寿命を決定するため、特に重要である。構造材の損傷はモンテカルロシミュレーションコードLAHET,HMCNP及びHTAPEを用いて検討した。そのため、原子の弾き出し(DPA)、水素、ヘリウムの生成率及びエネルギー損失が評価された。DPA断面積の計算にはTRANSX2コードを使用した。これらの値を使用して、システムの放射線損傷と発熱密度を計算した。ターゲットやビーム窓の頻繁な交換は、システムの稼働率を低下させる可能性があるが、浅い未臨界度を選択すればこの問題は解決される。一方で小さいDPA断面積を持つ構造材の調査も必要である。
中吉 直隆; 宮田 定次郎
日本原子力学会誌, 36(8), p.744 - 751, 1994/00
被引用回数:3 パーセンタイル:35.79(Nuclear Science & Technology)高レベル廃液の貯蔵時における放射線分解発生水素量を評価することを目的として、実験室規模のCo線照射試験装置を用いて、硝酸水溶液の放射線分解により生成する水素量に影響を及ぼす各種因子について検討した。線量率0.24~4.5kGy/h、硝酸濃度0.1~8.0M、温度30Cの条件について、液攪拌下照射での検討の結果、水素生成量は線量の一次に比例して増加すること、また、放射線の吸収エネルギー100eV当たりの水素生成量(水素生成のG値、G(H))は線量率に依存せず、硝酸濃度の増加とともに指数関数的に減少し、高レベル廃液の硝酸濃度領域に相当する2~5Mでは0.019~0.044の範囲にあることがわかった。この値は、ガラスアンプルにより硝酸水溶液を減圧下で照射して得られた既報値よりも約20%低い。
鈴木 雅秀; 菱沼 章道; 山ノ内 直次*; 田村 学*; A.F.Rowcliffe*
Journal of Nuclear Materials, 191-194, p.1056 - 1059, 1992/00
被引用回数:4 パーセンタイル:41.92(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉環境下では、フェライト鋼において水素が(n,p)反応より約30atppm/dpa生成する。Fe同位元素を用いると、核分裂炉でもFeの(n,p)反応により水素生成を模擬することができる。しかしながらFeは通常大量には入手できず(~数gオーダ)、これを用いて鉄鋼材料を造ることは非常に困難である。ここでは、数gのFeを用いて、通常溶解の組成、組織と同等なフェライト鋼を作製する技術を確立した。作製されたフェライト鋼は8Cr-2WVTa鋼の低放射化鋼(F-82H)であり、Feの96%がFeで構成される。HFIRの照射により~20atppm/dpaの生成速度で水素を照射中に生じ、フェライト鋼の水素効果を調べることが可能となった。
三井 光; 細井 文雄; 鍵谷 勤*
Polym.J., 6(1), p.20 - 26, 1974/01
被引用回数:14ポリエチレンの橋かけ反応を、絶対圧力3kg/cmのアセチレンの存在下、1.110rad/hrの線量率の線を用いて、温度30~200Cの範囲で行った。ゲル分率は、温度の上昇とともに増加し、105C付近で最高値に達し、その後著しく減少して150C以上でほぼ一定値になる。ポリエチレンの融点以下の温度では、ゲルの生成量は真空中照射の場合と比較して、アセチレンの存在下では著しく大きい。ポリエチレンの重量は、線量の増加とともにほぼ直線的に増加し、その増加の割合は、150および200Cで低下する。アセチレンの存在における特徴的な構造変化は末端ビニル基の生成であり、その生成量は線量とともにほぼ直線的に増加し、生成速度は温度とともに増加する。アセチレンの存在において照射した場合の水素およびトランスビニレン基の生成量は、真空中照射の場合とほぼ一致する。以上の結果に基づいて、本橋かけ反応におけるアセチレンの作用機構について考察する。
中道 勝; 金 宰煥
no journal, ,
高温での安定性に優れた先進中性子増倍材としてのベリリウム金属間化合物(ベリライド)の製造技術の開発研究及びその特性評価を進めている。本研究では、Be-Ti系を含む2元系ベリライドの造粒技術開発の現状を報告するとともに、水蒸気との水素生成反応について報告する。
伊藤 義之; 松島 怜達; 佐藤 史紀; 小島 順二
no journal, ,
東海・再処理施設の低放射性廃棄物処理技術開発施設(LWTF)では、低レベル放射性廃液の処理により発生するスラリ廃液及び炭酸塩廃液をセメント固化し廃棄体を作製することを計画している。本研究では、作製したセメント固化体からの水素発生量を検討するため、量子科学技術研究開発機構高崎量子応用研究所のコバルト60線照射施設にて、セメント試料の線照射試験を行い、水素生成G値(G(H))を測定した。その結果、スラリ固化体(充てん率1050wt%)のG(H)は、約0.04であり、スラリ廃液を充てんしていない場合に比べて、およそ半分に低下した。また、炭酸塩固化体(充てん率1030wt%)のG(H)は、約0.05であり、炭酸塩廃液を充てんしていない場合に比べて、およそ1/3に低下した。炭酸塩固化体のG(H)がスラリ固化体の値よりも高かった要因として、炭酸塩廃液中の炭酸イオンは、水の放射線分解で生成する水素ガス発生量を増加させる作用がある一方、スラリ廃液中に含まれる硝酸イオンは、水素ガス発生量を減少させる作用があるためと考えられる。
伊藤 義之; 松島 怜達; 佐藤 史紀; 齋藤 恭央
no journal, ,
東海・再処理施設の低放射性廃棄物処理技術開発施設(LWTF)では、3種類の廃液(スラリ廃液, リン酸塩廃液, 炭酸塩廃液)をセメント固化し廃棄体とすることを計画しており、セメント固化設備の設計(安全性評価)では、セメント固化体から発生する水素ガス発生量を評価する必要がある。このため、模擬のセメント固化体を用いた線照射試験を行い、各固化体の水素生成G値を測定した。その結果、スラリ固化体のG値は、約0.03、炭酸塩固化体0.020.14、リン酸塩固化体0.210.37(/100eV)であり、水素生成G値は、固化する廃液成分やその充てん率によって異なってくることが分かった。
佐藤 史紀; 松島 怜達; 伊藤 義之; 齋藤 恭央
no journal, ,
東海再処理施設内の低放射性廃棄物処理技術開発施設で作製予定のセメント固化体について、放射線による水素ガス発生量を評価するため、模擬セメント固化体を作製して水素生成G値を測定した。